eofm のデザイナー鶴田氏との出会いは東京のある展示会だった。彼は組み立て式のアクセサリーを手がけ、そのデザインには男心をくすぐる独創性があった。そこに秘められたコンセプトに興味を持ち、話を聞くうちにeofm(イオフム)というブランドが生まれた背景に惹かれた。

ブランド名のeofmは "Experiment of Folk Methods" の略称。「民族的な手法の実験」という意味を持ち、世界各地の伝統的な技法やシルエットの美しさを現代のファッションに落とし込むことをコンセプトとしている。直感的に理解しにくいかもしれないが、その発想の原点は意外にもオカルトや歴史の探究にあった。

彼はもともと世界の七不思議やモアイ像、ピラミッドといった神秘的なものに強く惹かれていた。そんな彼がこの道へと歩みを進める転機となったのが、モンゴルの洞窟で発見された3000年前のボトムスだった。その形が今とほぼ変わらないことに衝撃を受けたのだ。さらに調べていくと、5000年前のエジプトのチュニックやイヌイット民族のパルカ(今でいうパーカー)など、現代の衣類が長い年月をかけて形を変えずに残り続けていることを知り、民族衣装の機能美に確信を得た。

彼は、現代のファッションは多様な要因が絡み合って発展してきていると言う。そして民族衣装のシルエットや技法をただ受け継ぐだけでなく、現代のマーケットにも適応させる形で発展させることが重要だと語る。それは単なる伝統の継承ではなく、新たな解釈を加え、より幅広い層に届ける挑戦である。

eofmのジュエリー

 代表作のひとつ、Faltバングルは、シグネットリングから着想を得ている。無駄を削ぎ落としたミニマルなデザインは、まるで現代の装飾品の概念を再定義するかのようだ。そのシンプルさの中に、長い歴史を経てきたデザインのエッセンスが凝縮されている。

eofm - Flat バングル

「民族的なジュエリー」と聞くと、多くの人がインディアンジュエリーやトゥアレグ族のジュエリーを思い浮かべるだろう。しかし彼は、そうした文化的背景を独自の視点で再解釈し、現代のファッションに自然と溶け込むデザインを生み出している。

未来への展望

彼に今後の展望を尋ねると、こう語った。

「最終的な目標としては、日本の伝統を再解釈し、地元の工場で製品を作ることです。日本の伝統を現代に適応させるブランドを確立し、和服を客観的に見つめ直し、現代のライフスタイルに合う形にすることを目指しています。」

伝統をそのまま残すのではなく、現代のスタイルと融合させながら、新しい解釈で未来へつなげる。こうした時代の変化に対応しながら、新しい表現を模索している彼の視点は、単なるファッションデザインの枠を超え、文化の再構築にも関わっている。

eofmの旅は、まだ始まったばかりなのかもしれない。1000年後、いや10000年後の未来で、彼の手がけた服を着る人がいるかもしれない。そんな未来を想像すると、彼のこれからの展開がますます楽しみになる。

「知らないものを知りたい」という探究心と、「新しい価値を生み出したい」という情熱。そのすべてが、未来のファッションに新たな可能性をもたらしていくだろう。

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